結核といえば、明治時代から日本では年間死亡者数が10数万人にもなっていて、国民病、亡国病と恐れられていたものの、戦後の医療の向上にともなって、死亡者数は100分の1以下に激減しました。
過去の病気となったように思いがちですが、現在でも毎年全国でおよそ2万人が新たに発病し、およそ2千人以上が亡くなっています。
結核の発病者数は、大阪府が20年以上全国ワースト1です。
結核というのは、世界的に見ると感染者数は年々増加しています。WHOによりますと、世界の人口の3分の1である約20億人が感染している感染症です。
今回は、結核について取り上げます。
日本で再び増加している結核
結核というのは昔の病気だと思っている人も多いのではないでしょうか。それがたまたま最近流行ってるのかな?と。
実は、先進国の中では日本の罹患率は一番高いんです。罹患率とは、一定期間に発生する患者数が全人口に占める割合のこと。
結核診断後、1年以内に死亡する人は最近増加傾向にあります。増えてるって聞くと、ちょっと心配になりますよね。
日本でも結核が再び増えるのではないか、と危惧されています。
というのも、1980年代にアメリカで結核が流行した時の状況と、現在の日本の状況が似ているのです。
結核は過去の病気だと思っている人がほとんどで、医師の知識や認識が少ないことが問題。
結核の初期症状
結核は、初期症状がはっきりとしません。
結核の初期症状は、せき、痰、微熱など風邪と非常によく似ていて、見逃されやすいんです。
せきをしてても、風邪かな?とか乾燥してるからかな?とか思うだけで、まさか自分が結核だとは思いませんよね。
結核に感染していても、健康な人は免疫力が結核菌を抑制し、発病しません。しかし、高齢や病気などで免疫力が落ちると、結核菌が分裂し発病します。
新しいタイプの結核菌が出現!?
超多剤耐性結核菌という新しいタイプの結核菌の出現が問題になっています。
結核の治療には抗結核薬(イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、ピラジナミド)が使われます。非常に有効です。
結核の治療をして、2週間くらいすると症状がまったく無くなります。そうすると、せきがおさまったから治っただろうと思って、勝手に薬の服用をやめてしまう人が出てきます。
でも、まだ結核菌は体の中に残っていて、その結核菌が薬に耐性を持ち、どの薬も効かない多剤耐性結核菌になってしまいます。薬が効かないので、自然治癒力に頼るしかありません。
すごくやっかいですよね。
結核の感染経路
結核ってどうやってうつるのでしょうか。
結核を発病した人がせきをした時、空気中に結核菌が飛散します。それを他の人が吸い込み感染する、空気感染。いわゆる「飛沫核感染」です。
結核の発病率
結核菌の感染力というのは、季節性のインフルエンザに比べて弱いのですが、結核に感染した人の約10%が発病すると言われています。
発病すると、何も治療しなければ約10%の人が亡くなるという重大な感染症です。
結核は感染して2年以内に発病することが多いです。しかし数十年後に発病することもありますし、さらに何度も発病することもある病気なんです。
結核に感染した人の約10%が発病するのならば、逆を言えば、感染したからといって一生発病しない人も9割いるということに?
そうです。感染しても発病しない人もいます。発病しなければ、他人にうつす事は無いんです。
結核になった場合、治るまでどのくらいかかるのか、治療期間については次回の記事をご覧ください。
予防法についてもご紹介します。
結核は、身近な病気になりつつあるのかもしれませんね。過去の病気だ、なんて思っていられなくなってきました。