10年後・・・、日本のアニメが無くなるかもしれません。
海外からも注目されているし、人気も高いんだから無くなるわけない。
しかし、その制作現場は、かなり厳しい状況におかれているようなんです。知ってましたか?
今回は、そんなアニメ業界について取り上げます。
アニメ業界で働く人の年収
2015年4月、こんな衝撃的なデータが発表されました。
アニメ業界で働く人の平均年収は、なんと332.8万円(日本アニメーター・演出境界が調査)
ちなみに全国の平均は414万円(国税庁)
1ヶ月の平均労働時間は263時間(全国平均は、およそ168時間)
驚きましたか?しかし、驚くのはここから。
業種別で見ると、アニメーターの中で特に若手が担当することが多い工程、動画担当者の平均年収はというと
113.3万円
1日の平均作業時間は、11.3時間。1ヶ月の平均作業時間251.3時間。
こんなの、ブラック企業やないか~い!!!
アニメーター界の年収ピラミッド
総作画監督(平均年収564万円)・・・複数話に渡るシリーズ全体の絵柄を管理する
作画監督(平均年収393万円)・・・原画担当者らによって描かれた絵柄を修正し統一感を持たせる
原画(平均年収282万円)・・・動きのキーポイントとなる静止画を描く
動画(平均年収111万円)・・・原画担当者の描いたカットとカットの間をつなぐ絵を描く
動画を担当している人の平均作業時間と給料とで時給に換算すると、およそ370円。ちなみに東京の最低賃金は時給888円。
最低賃金の半分以下。え!?これ、ダメじゃないですか。法律はどうなってんの?OKなの!?なんで?
アニメーターは労働者ではない!?
詳しくいうと、制作会社や作画スタジオに雇用されているのではなく、業務を委託された個人事業主の集まり。
吉本の売れてない若手の芸人の時給っていくらなんでしょうね。芸人は吉本の社員ではないんです。つまり、アニメーターは芸人と同じなのです。
あくまでも仕事を請け負い、デスクなどを借りて作業しているだけ。アニメーター1人1人が制作会社と契約。1枚○○円の出来高制。
社員として雇用されてるわけじゃないんですよ。雇用契約がないため、労働基準法などは適用されません。最低賃金や長時間労働の規則に守られること無く、仕事をせざるを得ない現状です。
個人事業主ということは、こんな少ない給料から年金とか国民健康保険料とかを自分で払い、確定申告もするわけですよ。きっつ~。
若手アニメーターの厳しい労働実態
単位は1枚あたり200円程度
1日に描けるのはおよそ20枚
1ヶ月に500枚として月収10万円程度がやっと
平均作業時間は1日あたり10時間
ちなみに原画にステップアップすると1カットあたり4000円に。能力があれば収入は上がっていく。
正確な統計ではないんですが、3年以内の離職率は9割に上ることも。
さらにこんな悩みも。
アニメの制作には膨大な時間が
脚本が出来てから、一般的に3ヶ月。
30分の番組1話分で、およそ3000枚の動画が必要。みかん箱6箱分になります。
シナリオや絵コンテ、原画などの作業が遅れると、そのしわ寄せが動画に・・・
最近では脚本完成から1ヶ月で制作というスケジュールも多く、中国や韓国に丸投げするケースも。
アニメの売上
日本動画協会によると、2013年度、グッズやDVDソフトなどユーザーがアニメ関連に使った金額を推計した広義のアニメ産業市場 1兆4913億円。
一方、制作会社などアニメの制作現場の売り上げ推計は、アニメ業界 1725億円。
1兆4913億円のうちの1725億円しかアニメ業界にいってない!?
つまり、グッズやDVDをなどの商品が売れても、制作委員会などに出資し、版権を持っていなければ、いくら作品がヒットしても最初の作業費用以外のお金はスタッフに還元されない・・・・。
まとめ
こんな状況ですので、能力のある人ほどゲーム業界など条件のいい業界に流れていきます。
毎週楽しみにしているアニメがある人にとっては、アニメを作ってくれる人がいなくなったらどうしようと不安ですよね。
アニメーターは「好きなことをしているのだから稼げなくても仕方ない」と思って頑張って働いてくれてます。
アニメの絵を描いてくれてる人の給料が激安って何なんでしょうか!!絵を描いてくれないとアニメが出来ないのに。そこが一番大事な役割だと思うけれど。
1日10時間以上働いているのに、給料が少なくて生活もままならない状況で、何年頑張れるというのでしょうか。離職率が高くなってもしょうがない。このままだと動画部分を担当してくれるアニメーターがいなくなって10年後アニメが無くなってもおかしくないですね。