寒い季節になると、温かいお風呂でほっこりしたい♪
でも、そんな時は要注意です。
寒い日の入浴は、危険な場合があります。
ヒートショックです。
ヒートショックとは
温度変化にともなう、血圧の急激な変動。それをヒートショックといいます。
「寒い」と「温かい」の急な変化によって、血圧が上がったり下がったりしてしまって、脳の血管や心臓に異常をきたしてしまうのです。
具体的にどのようにヒートショックが引き起こされるのでしょうか。
ヒートショックが起きる時
寒い冬は1日の終わりにお風呂で温まりたいですよね。
ヒートショックは、冬の日にお風呂やトイレで起こります。
暖房のきいた温かい部屋から、脱衣所へ。しかし脱衣所は冷え切った状態。
人間の体は、周りの気温が低くなると、体内の熱が奪われないように毛細血管が収縮します。すると、細くなった血管に無理やり血液を流そうと血圧が上昇してしまうのです。
さらに!
湯船に入ると、まずは水圧の影響で多くの血液が心臓に戻され血圧が上がります。
42℃以上の熱いお湯に入ると、自律神経の働きで血圧がさらに上昇。
この3段階の血圧上昇が、脳梗塞や心筋梗塞の引き金になってしまうのです。
しかもヒートショックは血圧の上昇だけではありません。
湯船で体が温まってくると、今度は収縮していた血管が一気に広がり、血圧が急激に下がります。
すると、脳が貧血状態になり、めまいを引き起こして湯船で窒息したり、転んでケガをしてしまう可能性が出てくるのです。
入浴による血圧の急激な上昇と下降に注意
先ほどの血圧の上下をまとめます。
- 寒い脱衣所で⇒血管が収縮 ⇒血圧の上昇
- 水圧で⇒血流が心臓に ⇒血圧の上昇
- 熱い湯で⇒自律神経活性化⇒血圧の上昇
- 体が温まって⇒血管拡張に⇒血圧の下降
- お風呂から出ると寒い脱衣所で⇒血管が収縮⇒血圧の上昇
- 服を着ると⇒体が温まって⇒血圧の下降
日本では年間約1万7000人がお風呂で死亡しています。
この1万7000人のうちの約7割が高齢者です。交通事故死者数=4372人(2013年)ですから、4倍です。
単なるヒートショックが直接の死因ではありません。
ん??湯船に浸かってる時に、血圧の急激な変動で心筋梗塞とかが起きるんじゃないの?
そう思いますよね。ところが、死因を詳しく調べてみると、心筋梗塞や脳梗塞では無いんです。
窒息死が原因
温度の急激な変化により、血圧の急激な変動が起きます。
そうすると、脳への血流が悪化してしまうんです。
脳への血流が悪化することで、意識レベルが低下していき、湯船に顔が沈んで、窒息死。おぼれている、ということです。
高齢者入浴中突然死症候群といいます。
こんな人がヒートショックを起こしやすい
当てはまる人は、注意してくださいね。
75歳以上の高齢者、高血圧の人⇒動脈硬化により、脳の血流を維持する機能が低下
熱いお風呂(42℃以上)が好き⇒自律神経の働きで血圧が急上昇。自律神経のバランスも不安定で血圧も乱降下
飲酒後にお風呂に入る⇒体が脱水状態になり血はドロドロ、血液の循環が悪化
じゃあ、ヒートショックにならないように、寒い冬はずっとお風呂に入らなければいいんだ!って、そんなわけにいきませんよね。
ヒートショックを予防するには
ヒートショックの対策として
- 温度差をなくす・・・脱衣所を温めるなど
- ゆっくり温める・・・浴室も温めておく、かけ湯をするなど
- 水分補給・・・入浴前に水を飲む
というのが大事です。
そして、万が一の時のために
- 浴室に手すり
手すりがあれば、めまいが起きて倒れる途中でつかむことができて転倒を防げます。
どこでも簡単に取り付けられる手すりです。
そしてもう1つ対策として
- 家族の声かけ
家族が「湯加減はどう?」など声をかけて、返事があるかどうか確かめるようにしましょう。
最後に
ヒートショックが起きて心配しなければならないことは窒息死だったんですね。
お風呂は、1日の疲れを取るリラックスできる時。
それが冬場は、死と隣り合わせだなんて!
温度の変化に注意を払って、血圧の変動に気を付けなければいけませんね。