前回は2025年問題について取り上げました。
特に対策が必要なのが認知症です。2002年に149万人だった認知症高齢者が2012年には305万人と、10年で2倍に増えました。
従来の予想を大きく上回るペースで増加しています。
2025年には470万人 に増えるんじゃないかという予測も・・・。65歳以上の人の12.8%ということは、8人に1人。ひゃー。
認知症というのは
記憶・判断力の障害によって、普通の日常生活が送れなくなった 状態のこと。
認知症の初期症状は、通常の加齢によるものと区別が付きにくいので知らないうちに進行 していく可能性があります。
認知症の中でも最も多いのが
『アルツハイマー型認知症』
脳の中で特殊なタンパク質が溜まって脳の萎縮が起こるといわれていて、つい最近の「短期記憶 」が失われるのが特徴です。
例えば「この間、紅葉を見に行った時の写真出来たよ~」ってアルバムを見せたとします。
普通の加齢による物忘れの場合だったら
『え?いつ行ったっけ?』
となっても、「ほら、紅葉を見ながらみんなでお弁当食べたじゃない。」と言えば
『ああ!あの時のね!』
というふうに、記憶の一部が抜け落ちてるだけなので「お弁当を食べた」など、何かヒントを与えると思い出します。
しかし、アルツハイマー型認知症になると
「お弁当も食べたし、ほら、○○さんにも偶然ばったり会ったよ!」とヒントを与えても、
『そんなのは行ってない』
と、紅葉を見に行ったという記憶そのもの がすっぽり抜け落ちます。出来事の記憶が丸ごと無くなっちゃうんですね。
ただ、昔あった出来事などの「長期記憶 」はよく覚えているケースが多いです。
認知症の進行
まず中核症状が起こります。
- 記憶障害
- 判断力の低下
- 人の話している言葉が理解できない
- 時間や場所が分からない
中核症状の特徴は、同じことを何回も聞いたり言ったりすること 。「今日は何曜日?」って聞いて、数分後にまた「今日は何曜日?」と聞く。他にも、簡単なお金の計算 が出来なくなります。
そして周辺症状が起きます。
- 怒りっぽくなる
- 意欲がなくなる
- 不安や幻覚
- 一人で歩き回る(徘徊)
周辺症状の特徴は、毎日の日課 だったことをやらなくなったり、ささいなことで怒りっぽくなったりします。
そして、徘徊 です。普通に散歩してるだけにも見えますが
徘徊の特徴
分かりやすく特徴をご紹介します。
『せん妄タイプ』
目の焦点が合わず意識朦朧(もうろう)としている
『混乱タイプ』
帰り道を忘れてしまって必死の形相で家を探し混乱している
認知症は治るのかどうかって気になりますよね。
治せる認知症もあります。(突発性正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫など)
基本的には、ゆっくり進んでいくものです。できるだけ、「食い止める」というのが大事。
認知症の治療
具体的な治療法をご紹介します。
『薬物療法』
認知症の進行を食い止めるというものです。平成23年に新薬が発売されて選択肢が広がりました。
『回想法』
過去の懐かしい思い出などを語り合う
『音楽療法』
好きな曲を聞いたり、音楽に合わせて身体を動かしたりする
『バリデーション療法』
認知症の患者の行動に対して「共感して接する」
認知症を防ぐには?
予防としては
- 人と会話する
- 好きな趣味を楽しむ
- 料理をする
予定を立ててカレンダーに書き込むなど、心待ちにできる時間を過ごすことが効果的です。
まとめ
よく言われるのが、自助・共助・公助。
自助→自分で何とかする
共助→周りの人に助けてもらう
公助→役所に助けてもらう
今は共助が難しくなってます。周りの人との付き合いが減ってますから。公助は、まだまだ制度が追いついてないので安心できません。自助が大事になってきます。
認知症対策の心得は、自分自身が気をつけること。
3つあります。
『かかりつけ医を持つ』
認知症のお医者さんじゃなくても、本人の普段の様子 を知っていれば、変化を見落とさず、早期発見してもらえます。いきなり認知症になるわけじゃないですからね。ゆっくり変わっていくわけですから「最近、あなたおかしいよ」と言ってくれます。
『生活習慣病を予防』
生活習慣病と認知症に共通するリスク因子が存在する可能性があるんです。
『書き置きを残す』
安心して自分らしく暮らすために「大切にしていること」「人に分かってほしいこと」「暮らしの中で大事にしたいこと」などを、元気な内に書いておくこと。
そして、それを見守る家族としての心構えは、1人で頑張り過ぎず、余裕をもった介護を!市町村の窓口に早めに相談を!