前回は、「役割の変化」についてまとめた。
社交不安障害を治す上で、重点を置くのが「役割の変化」と「役割をめぐる不一致」の2つだった。
今回は「役割をめぐる不一致」について取り上げる。
今回の疑問「役割をめぐる不一致をどうすればいい?」
役割期待のズレが、社交不安障害の症状と大きく関わっている時に「役割をめぐる不一致」として焦点を当てる。
役割期待のズレって何?という方はこちらを。
つまり、こういう事をする人であってほしいな~と思ったり、思われたりしてる状態が役割期待。なのに、違う事をしてる!もう!!ってなるのが役割期待のズレ。
社交不安障害の人の場合は、どういう役割期待のズレがあるかというと、「過保護」と「いい人」である。
過保護な人が周りにいて、私の代わりに何でもやってくれるとする。そしたら私は、「自分1人の力では何も出来ない」と思うようになって自分の力を感じられなっていく。不安が強くなり、社交不安障害の悪循環の中へ~。
この場合の役割期待のズレは、「自力で何も出来ない私」という部分。何も出来ないわけじゃないのに。
それから、「いい人」って何かというと「いい人を演じてしまう」ってことだ。
社交不安障害の人は、「自分のニーズを伝えないことが相手との関係性をよくするための秘訣」だと思っています。
相手のストレスを減じるために自己を犠牲にすることしか考えられない、というのは、明らかにバランスを欠く考え方です。
本当はこうしたいのに、相手がああしてほしいと思ってるから、相手の方を優先。相手は、そりゃ喜ぶ。だから「あ~やっぱり本当の気持ちを言うよりも、相手に従う方がいいんだ」となって、社交不安障害の悪循環の中へ~。
役割をめぐる不一致をなんとかしていこう。
役割期待がズレてて、一致してないから問題が起きている。どんなふうにズレてるのか?それをハッキリさせないといけない。
例えば、会議をすることに対して、会社を辞めたいと思うほどの恐怖とひどい緊張がある場合。
「かしこく見せなきゃ」とガチガチになってた。かしこい人という役割を期待されてると感じたから。他の人同士は気さくに話しているのに、自分には声を掛けてくれない。
勇気を出して会議が終わった時に気楽な感じで「お疲れ様」と言ってみた。そしたら「お疲れ~」と気さくに返してくれた。
「かしこく見せなきゃ」と気を張っていたから、そのピリピリした雰囲気を感じて周りも声を掛けにくかっただろうし、自分には声を掛けてくれないから「かしこく見せなきゃ」という思いもどんどん強まっていって・・・・。
「お疲れ様」と勇気出して言ったら「お疲れ~」と気さくに自分に対しても反応をしてくれた、じゃあ次はもうちょっと何か言ってみよう、今回も気さくに返してくれた、じゃあ長めに話しかけてみよう、・・・・。
社交不安障害の人の多くが、基本的には「どうするべきか」ということを知っています。ただ不安が強すぎてその知識を生かせないだけなのです。ですから、不安が減じてくるにつれて、「どうするべきか」を自分で考えられるようになってきます。
会社を辞めたいと思うほど緊張していた会議。役割をめぐる不一致が起きていた。
「かしこい人」でいることを求められてるって思い込んでた。もしかしたら周りは「気さくに何でも話せる人」であることを期待してたかもしれないのに。
かしこく見せるのがしんどかった。気楽な感じで椅子にダラ~っと座ってるのが本当の自分なのに。
役割期待を多面的に考えていくと、見えてくることがある。「かしこい人でいること」「かしこく見せること」の1点に集中していると、ズレてることが分からなくて、不安症状を強めていくことに。
それから、重要なポイントがこれ。
社交不安障害の場合の問題は、何でも自分のせいにすることです。
何事もどっちかにかたより過ぎるのは良くない。全部自分のせいだと思う考え方も、全部他人のせいにすることも問題。
じゃあ、どうすりゃいいの?ってことになる。境界を設定すればいい。
自分側の問題なのか、相手側の問題なのか、という境界線をはっきりとさせる
社交不安障害の人は、自分の敷地を守ることを意識する。
「いい人」を演じるのは、相手を自分の敷地に入れていることになる。私はこうしたいんだ!(ここは私の敷地だ!)と主張せずに、相手が望む「いい人」になる。どうぞどうぞと相手に場所を譲って、自分は端っこでギューギュー詰め。
また、自分が相手の敷地に入ってしまうこともある。
例えばあの人(相手)が機嫌が悪い時。もしかして私と一緒にいるのが嫌なのかもしれない、私がいるからあの人は機嫌が悪いんだ。そう思って、健気なつもりで実はあの人(相手)の敷地の真ん中でドンと座って嘆いている私。
あの人(相手)からしたら「いやいや、こっちだってなんとなく機嫌の悪い時くらいあったっていいじゃない。自分のせいだって嘆きながら、ここの敷地に勝手に入ってきて占領しないで!」ってなもんだ。
問題が起こったときに、それが自分の「敷地内」の話なのかどうかを考える視点を持つことが重要です。
相手の敷地、私の敷地。境界線があるからお互いに入らないようにするっていうと、なんだか冷たいようにも思える。
でも実は逆で、境界線をきちんと守るからこそ、親しい関係を作っていくことが出来るのだ。
相手の敷地に侵入しないようにすると相手を尊重することになりますし、自分の敷地を守りたいと主張することで、どうしたいのか、どうしてほしいのかがお互いに明確になる。
お互いに尊重し合っていて、相手の気持ちをお互いにはっきり知っているとなれば、その人達って大の仲良しに決まっている。そうなるためにも、境界線は大事だ。
境界を設定して、自分が相手に何を期待しているのかを整理する!
以前の記事で、社交不安障害の悪循環が何個も出てきたけど、まだあった。
いい人を演じるということが、社交不安障害の悪循環の1つだったなんて!そんなのまで悪循環なのかよ~油断ならないな~。
今回取り上げた「役割をめぐる不一致」について、この本に詳しく書いてある。今これを読んでて、訳分かんなかったなって人は、私の書き方に怒らないでこの本を参考に。私の文章力は、私の敷地内の問題なのだから~!!!(^◇^)エ~ン(泣)
演じるのは「いい人」でなくても、他の些細なことでも、社交不安障害の悪循環になるかもしれない。
おしとやかに見られたいから、大人しい子を演じる。この場合は、自らが「おしとやかに見られたい」って思ってやってることだから大丈夫。しかしこれが、「この家に生まれた子は、おしとやかでなければならない」みたいな家族の空気があって、大人しい子を演じていたとしたら・・・。
今回出てきたこの一文。
社交不安障害の人は、「自分のニーズを伝えないことが相手との関係性をよくするための秘訣」だと思っています。
相手と仲良くするには、自分のことは相手に言わないで、相手に合わせるのが良いんじゃないの?そういう付き合い方をすれば、傷つくこともないし。
それも別にいい。ただ、それは社交不安障害の悪循環の1つだから、それをすると社交不安障害になるよ~と。
それに、そういう付き合いの人とは、会うのがつらくなっていくだろう。何を言ってくるか分からないし、何を言われても従うしかないから。その人と会うのが嫌になって、人付き合いが嫌になってきて、もう全部嫌!丸ごと全部嫌になってきた!みたいな。
じゃあ、相手との関係をよくするための秘訣で、逆をしたらどうなるのか。
自分のニーズを伝えることが秘訣だと思ったとして、それをやったら・・・。
この続きは次回に。
まだまだ考察は続く。